サックス買取相場はモデルで大きく異なり、公開参考価格ではYAS-275が4万円、現行YAS-62が12.3万円、SA80 IIアルトが24.5万円などです。
ただし、これは条件を満たした場合の公開参考価格であり、実際の買取保証額ではありません。一方、2026年にはSELMER SA80 IIアルト17万円、テナー26万円など、実際の買取実績として公開されている例もあります。
この記事では、YAMAHA、H.SELMER、YANAGISAWAを中心に、中古サックスの買取相場を具体的なモデル別に整理します。
さらに「価格表」と「実際の買取実績」を分けて確認しながら、楽器リペアラーの視点で、タンポ・トーンホール・ネック・キー支柱・凹みなど、査定前に見ておきたいポイントまで掘り下げます。
サックス買取相場はいくら?まず公開参考価格と実績を分けて考えよう
サックスの買取相場を知るうえで、最初に理解しておきたいのは、ネット上に掲載されている金額には「条件付きの参考価格」と「実際の買取実績」があるということです。
この2つを同じ数字として扱うと、自分のサックスが実際にいくらで売れそうなのかを読み違えやすくなります。
たとえば楽器買取Qsicが公開している価格表では、YAMAHA YAS-275のハードケース仕様は中古品40,000円、YAS-62初代は90,000円、現行62ネック仕様は123,000円とされています。
H.SELMER SA80 II W/E GLのアルト・彫刻ありは、中古品245,000円です。
代表的な公開参考価格を整理すると、次のようになります。
メーカー・モデル 中古品 美品 新品同様
YAMAHA YAS-275 ハードケース 40,000円 48,000円 58,000円
YAMAHA YAS-280 43,000円 52,000円 65,000円
YAMAHA YAS-380 58,000円 76,000円 84,000円
YAMAHA YAS-62 初代 90,000円 110,000円 130,000円
YAMAHA YAS-62 現行・62ネック 123,000円 152,000円 160,000円
YAMAHA YAS-82Z 現行・V1ネック 155,000円 180,000円 200,000円
H.SELMER SA80 II W/E GL アルト・彫刻あり 245,000円 285,000円 315,000円
H.SELMER Jubilee SA80 II W/E GL アルト・彫刻あり 270,000円 300,000円 350,000円
H.SELMER Jubilee SA80 II W/E SP アルト・彫刻あり 350,000円 380,000円 420,000円
上記は買取保証額ではありません。主要な付属品や楽器の状態など、価格表を掲載する事業者が設定した条件によって実際の査定額は変わります。
また、「中古品」「美品」「新品同様」という表現にも注意してください。
これらは中古楽器業界全体で統一された共通規格ではありません。各社の状態ランクや査定区分は、それぞれの基準で設定されています。
そのため、A店の「中古品」とB店の「ランクB」を同じコンディションだと考えて価格だけを比較するのは適切ではありません。
実際の買取実績ではいくらで売れている?
参考価格だけではなく、「実際にどのようなサックスがいくらで買い取られたのか」も見てみましょう。
サックス高く売れるドットコムが2026年に公開している実績では、1993年製のSELMER SA80 IIアルトが170,000円で、2026年8月20日に長野県で買い取られた例があります。
同じ2026年8月20日には、埼玉県でSELMER SA80 IIテナーが260,000円となった実績も公開されています。
さらに、2026年8月13日には広島県でBuffet Crampon S1 Prestigeアルトが350,000円、2026年8月10日には東京都でYAMAHA YTS-380テナーが90,000円という例があります。
2026年7月27日には大阪府でYANAGISAWA A-991が250,000円、7月20日には神奈川県でYANAGISAWA WO2が219,000円となった実績もあります。
ここで見えてくるのは、「サックスなら数万円」という一括りでは捉えられない市場です。
一方で、高額モデルだけを見て期待値を上げすぎるのも禁物です。
同じ公開実績には、2026年8月22日のOrient OSA-4000LBが300円、8月19日のKaerntnerアルトサックスが4,000円という例もあります。
つまり中古サックスの買取価格は、数百円・数千円のケースから数十万円になるケースまで非常に幅が広いのです。
私はこの実績差こそ、「サックスの相場はメーカー名だけでは判断できない」ということを最も分かりやすく示していると感じます。
YAMAHA・セルマー・YANAGISAWAの中古サックス買取相場は?
代表的な3メーカーを見ても、中古サックスの価格帯はモデルによって大きく変わります。
結論からいえば、メーカーを確認したら、次は必ず型番・世代・仕様まで絞り込むことが重要です。
YAMAHAはYAS-275からYAS-875EXまで価格差が大きい
YAMAHAは入門向けからプロフェッショナル向けまでモデル数が多く、同じアルトサックスでも公開参考価格には大きな差があります。
Qsicの価格表では、YAS-275の2000年代ハードケース仕様が中古品40,000円、セミハード/リュック仕様は42,000円です。つまり「40,000円または42,000円」という違いは、ケース仕様による区分です。
YAS-280は43,000円、YAS-380は58,000円ですが、定番モデルのYAS-62になると価格帯が上がります。
初代YAS-62は中古品90,000円、G1ネック仕様は113,000円、現行の62ネック仕様では123,000円です。
この90,000円→113,000円→123,000円という差は非常に重要です。
本体に「YAS-62」と書いてあることだけ確認して相場検索を終えると、世代やネック仕様による違いを見落とす可能性があるからです。
上位モデルでは、YAS-82Zの現行V1ネック仕様が中古品155,000円、美品180,000円、新品同様200,000円。
YAS-875EXの現行2015年以降ゴールドラッカー仕様では、中古品162,000円、美品193,000円、新品同様235,000円とされています。
銀メッキのYAS-875EXS現行2015年以降モデルは、中古品195,000円、美品225,000円、新品同様260,000円です。
また、クロサワウインドの公開リストではYAS-280がランクS70,000円、A60,000円、B45,000円、最低買取価格10,000円。
YAS-62の62ネック仕様はランクS160,000円、A147,000円、B125,000円、最低買取価格50,000円とされています。
ここで価格差だけを見て「どちらが正しい」と判断してはいけません。
前述した通り、各社のランク定義や査定条件は共通ではないためです。価格を見るときは、必ず条件とセットで読みましょう。
H.SELMERは仕様や年代まで確認したい
H.SELMERは中古サックス市場でも高い価格帯が見られるメーカーです。
Qsicの公開参考価格では、SA80 II W/E GLアルト・彫刻ありが中古品245,000円、美品285,000円、新品同様315,000円。
銀メッキのSA80 II W/E SPアルト・彫刻ありでは、中古品320,000円、美品360,000円、新品同様390,000円です。
Jubilee SA80 II W/E GLアルト・彫刻ありは中古品270,000円、銀メッキ仕様なら350,000円とされています。
バリトンではさらに金額が大きく、Jubilee SA80 II W/E GLバリトン・彫刻ありが中古品580,000円、美品700,000円、新品同様800,000円。
SP仕様では中古品680,000円、美品800,000円、新品同様900,000円です。
ただしセルマーを見るとき、私は単純な「きれい・汚い」だけでは判断しないことを特に意識してほしいと思います。
大久保管楽器店が公開した過去の買取事例には、1975年製Selmer MARK VIIが2024年5月3日に490,000円となった例があります。この個体ではラッカーの変色がありましたが、それだけを単純な減点材料として扱わない評価が示されています。
2024年11月21日には1991年製Selmer SERIE IIが515,000円。大幅な調整が必要な状態でも、年代を含めた価値が評価された事例です。
さらに2023年7月28日には、1963年製A.Selmer MARK VIが1,070,000円となった公開事例もあります。
これはすべての古いセルマーが高値になるという意味ではありません。
重要なのは、ヴィンテージや特定年代のサックスでは「古さ」そのものと「価値の低下」を同一視できないことです。
長く使われた痕跡がある楽器ほど、モデル、年代、オリジナル性、修理歴などを含めて見なければ、その個体の価値を読み違える可能性があります。
YANAGISAWAもシリーズによって相場が変わる
YANAGISAWAも、モデル特定が欠かせないメーカーです。
QsicではSN-901ソプラニーノが中古品130,000円、美品163,000円、新品同様206,000円。SN-901Sは136,000円、169,000円、212,000円とされています。
クロサワウインドではS-WO1がランクS227,000円、A159,000円、B113,000円、最低買取価格68,000円。
S-WO2は266,000円、186,000円、133,000円、最低79,000円です。
S-WO20になると339,000円、237,000円、169,000円、最低101,000円。S-WO37では528,000円、369,000円、264,000円、最低158,000円とされています。
実際の買取例でも、前述した2026年7月27日のYANAGISAWA A-991が250,000円、7月20日のWO2が219,000円という数字が公開されています。
したがって「ヤナギサワのサックス」という情報だけでは相場を絞り込めません。
シリーズ・素材・仕上げ・状態まで確認して初めて、その個体に近い価格帯が見えてきます。
なぜ同じサックスでも買取価格が何万円も違う?
同じメーカー、場合によっては同じ型番でも査定価格が違う理由は、世代・ネック・仕上げ・楽器の種類・状態・付属品など複数の条件が重なって評価されるからです。
サックスは家電製品のように「型番が同じなら中古価格もほぼ同じ」とは限りません。
YAS-62は世代とネックで参考価格が違う
典型的なのがYAMAHA YAS-62です。
Qsicの公開価格では初代YAS-62の中古品90,000円に対し、G1ネック仕様は113,000円、現行62ネック仕様は123,000円です。
テナーでもYTS-62IIのゴールドラッカーが中古品97,000円、G1ネック仕様137,000円、現行62ネック仕様147,000円とされています。
この差を見ると、査定前に「YAS-62」と確認して終わるのではなく、どの世代・仕様なのかまで調べる意味が分かります。
ゴールドラッカーと銀メッキでも違う
仕上げも価格を左右する要素です。
QsicのYAS-62現行モデルでは、ゴールドラッカー・62ネックの中古品123,000円に対して、銀メッキ・62ネックは156,000円。
YTS-62ではゴールドラッカー・62ネック147,000円、銀メッキ・62ネック170,000円です。
H.SELMER Jubilee SA80 II W/Eアルト・彫刻ありも、ゴールドラッカーの中古品270,000円に対して銀メッキは350,000円とされています。
ただし、これを「銀メッキなら必ず高く売れる」と一般化することはできません。
仕上げは査定条件の一つであり、モデルの需要やコンディション、付属品などを合わせた評価になります。
アルト・テナー・バリトンでも価格帯は変わる
楽器の種類も重要です。
2026年6月時点の新品希望小売価格として服部管楽器が紹介したYAMAHAの価格では、YAS-62アルトが440,000円、YTS-62テナーが528,000円です。
中古の公開参考価格でも、現行62ネック仕様のYAS-62アルトが123,000円なのに対し、YTS-62テナーは147,000円となっています。
バリトンでは、YBS-62現行モデルが中古品360,000円、美品400,000円、新品同様425,000円。YBS-82現行は442,000円、500,000円、546,000円です。
もちろん「サイズが大きければ高い」という法則ではありません。
しかし、アルトなのかテナーなのかバリトンなのかというサックスの種類そのものが価格を絞り込む基本情報であることは押さえておきましょう。
中古サックスの状態はどこを見ればいい?
査定前の状態確認では、単に「傷があるか」だけを見るのでは不十分です。
リペアラーの立場であれば、私はタンポ、トーンホール、キーと支柱、ネック、ベル・管体・U字管という順で気になる箇所を見ていきます。
タンポは見た目だけで判断しない
タンポは、キーを閉じたときにトーンホールを塞ぐための部品です。
硬化、破れ、著しい変色などは目視できる場合がありますが、見た目がきれいでも密閉状態まで初心者が正確に判断するのは簡単ではありません。
長期間吹いていなかったサックスでは、「一応音が鳴った」ことと「調整不要である」ことも同じではありません。
YAMAHAの取扱説明書でも、キーの雑音、コルクやフェルトの摩耗、ハンダ外れなどについては楽器店での修理が案内されています。
そのため、査定前に自分で分解して調整しようとする必要はありません。
トーンホール周辺は凹みとの位置関係を見る
トーンホールは、タンポが塞ぐ管体側の開口部です。
管体に凹みがあったとしても、その場所によって意味合いは変わります。特にトーンホール付近の変形は、密閉やキーの動作に関わる可能性があるため注意して確認したい部分です。
とはいえ、自宅で専門的な測定をする必要はありません。
「凹みがある」「トーンホールの近くに見える」という事実を写真で伝えられれば十分です。
キー支柱周辺は衝撃の痕跡に注意する
キーを支える支柱周辺も、私なら確認します。
ケースの中で保管していただけでも、過去の落下や強い衝撃によってキーや支柱周辺に変形が残っている場合があります。
キーが明らかに傾いている、特定のキーだけ戻りが悪い、隣の部品と接触しているように見える場合は、その状態を査定時に伝えましょう。
ここで避けたいのが、ペンチなどで自分なりに曲げ直すことです。
微妙な位置関係で連動しているため、見た目だけを戻そうとして別の箇所まで狂わせる可能性があります。
ネックは形状と接続部分を確認する
ネックは音の入り口となる重要なパーツであり、モデルや世代を特定する手掛かりになることもあります。
明らかな曲がりや凹みがないか、本体との接続部分に不自然な変形がないかを目視しましょう。
YAS-62のようにネック仕様によって公開参考価格が分けられているモデルもあるため、「純正ネックが残っているか」は価格を調べるうえでも重要な情報です。
ベル・管体・U字管の凹みも写真に残す
ベルは目立つため確認しやすい一方、管体や下部のU字管周辺は見落としやすい部分です。
BRASSWORKでは写真による相談時に4〜5枚程度の画像を案内しており、離れた位置からの全体像だけではなく、気になる箇所が分かる写真を用意する意味があります。
私は、査定用なら「きれいに見せる写真」よりも状態が正しく伝わる写真の方が大切だと考えています。
そして、凹みを見つけても自分で押し戻さないでください。
凹み修正やキー調整は、外見以上に周囲へ影響する作業です。売るために直したつもりが、新しいダメージを作ってしまっては本末転倒です。
サックス買取相場を正確に調べるには何を確認する?
自分のサックスがどの価格帯にあるか知りたいなら、価格検索の前に楽器の身元を特定するのが近道です。
私なら「メーカー→型番→世代→仕上げ→ネック→状態→付属品」の順で整理します。
最低限、査定前には次の情報を確認しておくと比較しやすくなります。
- メーカー名と正確な型番
- シリアル番号
- アルト・テナー・ソプラノ・バリトンなどの種類
- ゴールドラッカー、銀メッキなどの仕上げ
- 純正ネックの有無と仕様
- タンポやキーの目立つ異常
- ベル、管体、U字管などの凹み
- 純正ケース、マウスピースなどの付属品
- 保証書、取扱説明書、修理明細など手元に残っている資料
たとえば「ヤマハのアルトサックス」という情報だけでは、YAS-275なのかYAS-62なのかYAS-875EXなのか分かりません。
YAS-62だと分かっても、初代なのか、G1ネック仕様なのか、現行62ネックなのかで公開価格は違います。
ケースも無関係ではありません。
前述したYAS-275では、Qsicの価格表で2000年代のハードケース仕様が中古品40,000円、セミハード/リュック仕様が42,000円と分けられています。
YAS-475でもハードケース仕様60,000円、セミハード/リュック仕様63,000円です。
この例から分かるのは、中古サックスが本体だけを見て一律に値付けされるものではないということです。
購入時のケース、純正ネック、マウスピース、リガチャー、保証書、取扱説明書、過去の修理明細などが残っているなら、処分せず一緒に確認できる状態にしておきましょう。
修理明細があるだけで査定額が上がるとは断定できませんが、その楽器がどのような整備を受けてきたのかを確認する材料にはなります。
複数査定は「同じ情報」を渡して比較する
ここは、私が中古サックスを売る人に特に伝えたいポイントです。
複数店へ査定を依頼するときは、金額だけではなく、各店へ提示する条件をできるだけ揃えてください。
A社には「YAS-62です」とだけ伝え、B社にはシリアル番号、ネック、凹み、タンポ、ケース、付属品まで写真付きで伝えたとします。
この場合、提示された2つの金額は、同じ情報を材料に評価した結果ではありません。
本体全体、型番・刻印、シリアル番号、ネック、目立つ傷や凹み、ケース、付属品を同じように撮影し、同じ説明を添える。
このひと手間によって、単なる「査定額の競争」ではなく、自分のサックスのどこが、どう評価されているのかを比較しやすくなります。
査定額に差が出た場合も、「一方だけが高い・安い」で終わらず、調整費をどう見ているのか、付属品や年代をどう評価しているのかを確認する材料になります。
サックスの買取上限価格だけを見てはいけないのはなぜ?
サックス買取相場を検索すると「最高○万円」「上限○万円」という大きな数字が目に入りやすいですが、上限価格を自分の売却予想額として使うのは危険です。
理由は、上限に近い価格ほど良好な状態や付属品など、一定の条件を前提としていることがあるからです。
QsicのH.SELMER Jubilee SA80 II W/E GLアルト・彫刻ありでは、中古品270,000円に対して新品同様350,000円。
同モデルのテナーは中古品330,000円、新品同様400,000円、バリトンでは中古品580,000円、新品同様800,000円です。
バリトンでは同じモデルの状態区分だけで220,000円の差があります。
YAMAHA YAS-875のG1ネック仕様も、中古品159,000円に対して新品同様232,000円。YTS-875のG1ネック仕様は205,000円から275,000円まで幅があります。
さらに注意したいのが、店によって状態ランクの意味が違うことです。
H.Selmer SA-80II GL彫刻ありのアルトについて、クロサワウインドではランクS245,000円、A171,500円、B123,000円、最低買取価格85,000円。
一方、QsicのSA80 II W/E GLアルト・彫刻ありは中古品245,000円、美品285,000円、新品同様315,000円です。
興味深いのは、245,000円という同じ数字が、一方ではランクS、もう一方では中古品価格として掲載されていることです。
これは「S」「A」「中古品」「美品」といった言葉だけを見ても横比較できないことを示しています。
価格表を見るときは、金額の大きさより先に「何を満たしたときの価格なのか」を確認してください。
中古サックス相場から考える後悔しにくい売り方とは?
ここからは、公開されている価格情報と楽器を見てきた経験を踏まえた私見です。
筆者としては、売却時に最も避けたいのは傷や経年変化そのものではなく、「何を持っているのか分からないまま、最初の金額だけで手放すこと」だと考えています。
2026年6月時点の新品希望小売価格として紹介されているYAMAHA YAS-280は176,000円、YAS-380は231,000円、YAS-62は440,000円、YAS-875EXは759,000円です。
服部管楽器では、2024年9月の記事公開後、2025年10月にも価格改定があり、2026年時点でも値上がり傾向が続いていることが説明されています。
もちろん、新品価格が上昇したから中古買取価格も同じ割合で上昇する、という関係ではありません。
中古価格は新品価格だけでなく、そのモデルを欲しい人がどれだけいるか、市場に中古個体がどれだけ出ているか、再販売前にどの程度の整備が必要かといった需要と供給にも左右されます。
だからこそ、新品価格の上昇は「昔買った楽器も高くなった」と短絡的に考える材料ではなく、現在の中古市場を改めて調べ直すきっかけとして捉えるのが適切だと私は考えています。
そして、古いサックスについては特に外観だけで判断しないでください。
1975年製Selmer MARK VIIの490,000円、1991年製Selmer SERIE IIの515,000円、1963年製A.Selmer MARK VIの1,070,000円という公開事例を見ると、年代を重ねた楽器でも個体の背景を含めて評価されるケースがあることが分かります。
逆に、新しいモデルで外観がきれいでも、調整が必要であれば査定に影響する可能性があります。
「古い・傷がある」と「市場価値が低い」は別の話であり、「きれい」と「高く売れる」も必ずしも同義ではありません。
ここが、サックスの価値を見る面白さでもあり、難しさでもあります。
楽器は一見すると同じ金色の管体でも、型番、世代、ネック、仕上げ、修理歴、現在の状態が一本ずつ違います。
だから私は、売却前に無理に新品のような姿へ戻すより、その一本が「何者なのか」を正確に明らかにすることの方が重要だと考えます。
強く磨いてラッカーの状態を変える、凹みを押し戻す、キーを曲げ直す、分解して調整する。
こうした作業を知識や工具がない状態で行うより、軽く埃を落とし、型番とシリアルを確認し、付属品を揃え、現状が分かる写真を残す方が安全です。
学生時代に親に買ってもらった一本。
吹奏楽部で何度も本番を一緒に乗り越えた一本。
社会人になって、初めて自分のお金で買った一本。
思い出の大きさをそのまま査定額にすることはできません。しかし、その楽器が持つ市場での価値まで、持ち主自身が先回りして低く決める必要もありません。
私がリペアラーとして伝えたいのは、経年変化は、そのまま「価値がなくなった」という意味ではないということです。
モデルを調べる。仕様を確認する。状態を隠さず伝える。そして同じ条件で評価を比べる。
この順番を守るだけでも、「価値を知らないまま売ってしまった」という後悔は避けやすくなります。
まとめ|サックス買取相場は型番・実績・状態の3つで判断しよう
サックスの買取相場は非常に幅広く、公開情報ではYAMAHA YAS-275の中古品40,000円、現行YAS-62が123,000円、H.SELMER SA80 II W/E GLアルト・彫刻ありが245,000円といった参考価格があります。
一方、実際の公開買取実績では、2026年8月20日の1993年製SELMER SA80 IIアルト170,000円、同日のSA80 IIテナー260,000円、8月13日のBuffet Crampon S1 Prestigeアルト350,000円、7月27日のYANAGISAWA A-991 250,000円などの例があります。
重要なのは、条件付きの公開参考価格と実際の買取実績を混同しないことです。
そのうえで、メーカーだけではなく型番、世代、ネック、仕上げ、種類を確認し、タンポ、トーンホール、キー支柱、ネック、ベルやU字管などの状態も見ていきましょう。
そして複数査定を比較するなら、各店へ渡す写真や情報を揃える。
「最高額はいくらか」ではなく、自分が持っている一本が何者で、どの条件で評価されたのかを知ることが、中古サックスの相場を正しく読む近道です。
よくある質問
古いサックスでも買取価格はつきますか?
古いという理由だけで価値がなくなるわけではありません。
1975年製Selmer MARK VIIが490,000円、1963年製A.Selmer MARK VIが1,070,000円となった公開事例もあり、メーカー、モデル、年代、オリジナル性、状態、市場需要などを含めて評価されるケースがあります。
ただし、古ければ高額になるという意味でもありません。まず型番やシリアル番号を確認し、そのモデルに近い実績や参考価格を探してください。
傷や凹みがあるサックスは相場より安くなりますか?
傷、凹み、変形、タンポやコルクの劣化などは査定へ影響する可能性がありますが、場所や程度、モデル自体の価値によって評価は変わります。
特にベル、管体、U字管、トーンホール周辺、ネック、キー支柱などを確認し、無理な研磨、凹みの押し戻し、キーの曲げ直し、自己流の分解修理は避けて、現状を写真で伝えるのがおすすめです。
サックスの買取相場を調べる一番のポイントは?
まずメーカー、型番、世代、仕上げ、ネックを特定し、「条件付きの公開参考価格」と「実際の買取実績」を分けて確認することです。
複数査定を利用する場合は、本体全体、刻印、シリアル番号、ネック、傷・凹み、ケース、付属品など、各店へ渡す情報を揃えると価格差の理由を比較しやすくなります。
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